電動バイクは、エンジンではなくモーターの駆動力で走ります。そのモーターを動かすのに必要なのが、バッテリーです。
このバッテリーは、これまでのバイクに使われていたものよりも大容量となっており、車両によって種類も異なります。
ここでは、電動バイクの性能を左右するバッテリーと、その種類について解説していきます。
電動バイクの動力源・モーターは、電気で動いているため、バッテリーは非常に重要です。
バイクは小型なので、バッテリーを搭載するスペースを、大きくとれるわけではありません。
そのため、運動性能は損なわず、限られたスペースにどれだけの電気を貯められるかがテーマとなります。
現在使用されている、主なバッテリーは3種類で、「鉛バッテリー」「リチウムバッテリー」「シリコンバッテリー」となっています。
繰り返しの充電に強く、製造コストも安いことから、自動車からバイクまで広く使われているバッテリーです。一般的には、正極、負極に鉛や鉛の合金板を、バッテリー液には希硫酸を使用する構造となっています。
容量が大きく、重さもあるものの、安価で取り扱いが容易なため、低価格の電動バイクをメインに多数採用されています。
電動バイクに使用されているバッテリーの中で、ポピュラーなバッテリーです。ノートパソコンなどのモバイル機器に不可欠で、私たちの生活に密着した存在です。
大きな特徴は、小型で軽量なのに高電圧が得られるという点。「エネルギー密度(バッテリーの単位質量・単位容積当たりの取り出せるエネルギーの量)」の数値を調べてみると、リチウムバッテリーは鉛バッテリーと比べて高くなっています。
電動バイクは航続距離が長い方が、利便性が高いため、バッテリーの容量が重要です。しかし、バッテリーを多く積むと重くなってしまうため、航続距離は短くなってしまいます。
そのため、電動バイクには、軽くて高い容量を持つバッテリーが必要なので、リチウムバッテリーの人気が高まっています。
電解液に希硫酸を使用しているのが鉛バッテリーですが、電解液にシリコンを使用しているのが、シリコンバッテリーです。
鉛バッテリーでは電極に硫化物が堆積し、充電スピードが鈍化してしまう現象「サルフェーション」が発生しますが、シリコンを用いることで、その心配はなくなります。
ほかにも、希硫酸を使用しないので安全性が高い、自己放電が少ない、充電時間が短い、同サイズの鉛バッテリーより電気容量が大きいという利点もあります。
しかしながら、製造に関する特許などの問題から、生産する場所が限られていることに加えて、価格も高いことから、一部の電動バイクにしか使用されていないのが難点となっています。
電動バイクのバッテリーはコンセントに繋いで充電します。充電するためには100Vあるいは200Vの交流電源が必要。電動バイクの種類によって異なるため、購入前に充電方法についても確認しておきましょう。
近年では100Vコンセントで充電できるバイクが増えていますが、100Vコンセントとは一般的な家庭用コンセントのこと。専用充電器を使えば、普段家電などで使用しているようなコンセントからバッテリーの充電が可能です。バッテリーを取り外せるタイプのバイクも多いため、バッテリーだけ取り外して屋内で充電することができるでしょう。
また、200Vコンセントで充電できるバッテリーもあります。200Vコンセントはエアコンなどの大型家電で用いられており、電気自動車の充電でも使われています。自宅ガレージに200Vコンセントがある場合は充電できますが、100Vコンセントしかない場合は充電方法に注意する必要があります。
なお、充電ステーションでバッテリーを充電したい場合、ステーションの装置が100Vや200V、またバイクに対応可能かどうかチェックしておきましょう。
普通充電では10~20A程度の電流を用いて充電を行いますが、急速充電では100A以上の電流を流して充電します。そのため、急速充電なら普通充電に比べ圧倒的に短い時間でフル充電が可能。高速道路のサービスエリアやガソリンスタンドなどに設置されていることが多いでしょう。ただし急速充電はバッテリーに負荷を与えやすく、バッテリーの寿命を減らしてしまうリスクもあるようです。
現在では複数のメーカーから電動バイクが販売されていますが、バッテリー規格は統一されていません。そのためバイクのバッテリーは対象の電動バイクにしか使えないという問題を抱えています。
とくに航続距離を伸ばしたい場合、大容量のバッテリーが必要です。しかし電動バイクにはモーターとバッテリーを収納するスペースが少ないことから、小型かつ大容量のバッテリーの実現は難しいのです。
そこでホンダやカワサキ、ヤマハ、スズキの4社では、電動バイクの交換用バッテリーを共通仕様にする検討を開始したと発表。交換用バッテリーが共通仕様であれば、出先で充電が無くなった場合でもバッテリーステーションでフル充電のバッテリーと交換できます。充電を待つ時間のストレスから解放されるだけではなく、実質的な航続距離も伸ばせるメリットがあるのです。
こうした流れを踏まえ、電動バイクの「交換式バッテリーの規格一律化」は更に進んでいくことでしょう。