世界的にも環境問題が取り沙汰される中、自動車業界ではEVへのシフトが顕著となっています。しかしハイブリッドカーや電気自動車は多く街中を走っていますが、電動バイクはなかなか目にする機会がありません。ここでは電動バイクが普及しづらい理由などを解説します。
地球温暖化が進んでいるという背景もあり、世界ではエコな動きが多くなっています。自動車業界では「100年に1度の大変革」とも言われる事態が起きており、電気自動車メーカーであるテスラの急成長を見ても分かる通りEVへシフトする動きが加速しています。日本国内にある自動車メーカーも電気自動車やハイブリッドカーの開発・販売を進めており、自動車業界全体としてEVへのシフトがスタンダードになっています。
二輪車・バイクにおいては自動車ほどの電子化が見られる様子はありませんが、海外では電動バイクの取り扱いが増えるなど徐々に電動化へのシフトが見られるようになっています。電動バイクの購入に補助金が出るような国も出てきているなど、自動車同様に電子化が進んでいくと考えられています。
電気自動車に比べて電動バイクの普及が遅れている理由としては、その航続距離にあると考えられています。車種によっても異なりますが一般的なガソリン車であれば1回の給油で400km~1,000km走行できるといわれているうえに、各地にガソリンスタンドがあるため困ることはまずないでしょう。一方で電動バイクの場合、満充電から数十kmの走行距離しか得られず、これを伸ばそうと思うと大容量バッテリーを搭載せざるを得ず車体重量が増してしまいます。こういったさまざまな課題があることから、普及が遅れているのが現状です。
前述のようなさまざまな課題を抱えながらも、やはりエコであり街中での利用もしやすい電動バイクは、今後市場の成長が期待されています。2020年には400億米ドルに達していた市場規模は、以降年平均7.5%の成長により2030年には824億米ドルにも達すると考えられています。実際に日本でも道路交通法の改正により電動バイクに対する制限が緩まるなど、利用しやすい制度・法改正が進められています。さらに昨今の石油価格高騰・物価上昇も相まって、燃料不要で充電するだけで乗れる電動バイクの需要は今後も増加していくでしょう。
参考:Newscast(https://newscast.jp/news/2969619)
国内でバイクを生産しているホンダやヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業という主要4メーカーは、電動バイクの普及に向けてバッテリーの規格共通化を図っています。排気量が125cc相当までの電動バイクにおけるバッテリーは4社とも同じものが使えるようになっており、このバッテリーが今後の電動バイク業界におけるデファクトスタンダードとなるでしょう。また、ホンダではビジネス向けの二輪車を電動化すべく、二輪車・三輪車・ルーフ付き三輪車の三車種の開発を進めています。モーターパーツを販売しているカスタムジャパン社においては、走行時に二酸化炭素が排出されない電動二輪車の実証実験に取り掛かるなど、業界各社がさまざまな取り組みを行っています。
世界的にも徐々に普及が進む電動バイクですが、日本でもあちこちで見かけるようになるのはそう遠くない未来かもしれません。免許を返納した高齢者の移動手段として、また都心部でもコンパクトに移動できるエコな乗り物として多くの方に利用されるようになるでしょう。